「長次ーっ!アサガオ育ててどうするんだーっ!」
最初に長次の所へ来たのは文次郎でした。
文次郎はぶつぶつと言いました。
大体なんでよりによって俺が昆虫なんだ一体なにをどう間違えたらこうなるんだ!と。
長次は言いました。
「…宿題は宿題だ」
文次郎はしばらく黙った後どこかへ行ってしまいました。
次に来たのは小平太…の蹴った砲弾でした。
ぎゅいーーん!!
うなり声をあげて迫る砲弾。このままではアサガオが危ない!
長次はとっさにアサガオを庇いました。
アサガオは砲弾から守られました。でも、その拍子に植木鉢はひっくり返ってしまいました。
いつもは元気な小平太が、それはそれは申し訳なさそうな顔をしました。
長次は構わないというふうに首を振りました。もう一度植えなおせば育つからです。
それでも小平太がしょんぼりしているので、長次はなんとなく小平太の頭をなでてみました。
小平太は元気になりました。
次に来たのは仙蔵でした。
アサガオの芽を見つめる長次を、仙蔵は見つめていました。
「きれいに咲くといいな」
仙蔵は言いました。
花が咲いたら一番に仙蔵に見せよう。
長次は思いました。
なぜかはわかりませんが、長次はそれが一番いいと思いました。
伊作は来ませんでした。
宿題をやりに出かけていたからです。
その代わりくの一教室の女の子達がそばを通って、ケーキにアサガオの種を入れる話をしていました。
とりあえずそのようなことに使われる事態は避けたいと長次は思いました。
そうして、今は出かけている伊作を思いました。
なぜだか、少し心配になりました。
伊作が帰ってきたら会いに行こう、と長次は思いました。アサガオの種を持って。
つるがのびたら小平太に見せて。
花が咲いたら仙蔵を連れて。
虫が来たら文次郎を呼んで。
種ができたら伊作にあげよう。
ゆっくり大きくなれ。
これが最後の夏休みだから。
あとがき
長次好きなら一度はやってみたい、朝顔ネタ。
「長次寵児まつり」でみなさんの描かれる長次があまりにもかわいかったので、思わず文字で祭ったものです。
全員と絡ませたい!と思って書きました。(伊作だけいないけど…)
すると、ななんと!「はこにわ」のpepinoさんがこの小話からイメージした絵を描いてくださいました!
pepinoさんの素敵絵は→コチラ