さがせさがせ。「僕」をさがせ。
いそげいそげ。今にも消えてしまいそうだから。
どこかで僕を待っている、「僕」を必ず見つけるために。


 

 

 

 

 

Search me. Search out.

 

 

 

 

 

 

 

「あのー、すいませんがこんな顔した人知りませんか?」

僕は自分の顔を指して聞いた。

「…………さぁ。」

思いっきり怪訝な顔をされた。
……。やっぱり聞き方が悪かったかなあ。駄目でもともとで聞いてみたんだけど…。



あの後、僕は考えた。どうすれば三郎を見つけられるか。
そうして思い当たったのが、学園から家へ向かう途中の出来事だった。

学園から家に帰る途中に僕が三郎と間違えられた…ということは、三郎は僕より前にそこにいた、ということ。
また、襲ってきた男や倒れていた男は移動するものなのでどうしようもないが、僕を三郎と間違えて歓迎したあの村に行けば必ず手がかりはあるはずだ。
捜さない、という選択肢はなかった。
行かなければならない。それでどうなるかとか、そういうことは頭に浮かばなかった。

というわけで、僕は今あの村を目指している。その途中で一応通りがかる人にこう聞いてみたのだが…。

「…やっぱりだめか…」

聞き込みを諦め、僕は先へ進むことにした。

しかしその足は前方に見えた人影によってすぐに止まることとなる。
あれは…。

「よー、不破!久しぶりー!」
「おぉ。久しぶりだな不破」
「な…七松先輩と潮江先輩!?………あ、お久しぶりです」




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男が立ち上がる。
一瞬後、その顔はどこにでもいそうな男の顔から優しそうな、髪の多い少年の顔へその姿を変えた。




「さて、行きましょうか先輩」

一瞬にして顔を変えた男──鉢屋三郎は言った。

「…ああ」
「…聞かないんですね。この顔のこと」

三郎は自分の顔を指差して言った。
その顔は薄く笑っていた。

対する顔に傷のある男───中在家長次はいつもの無表情を少しだけ尖らせる。

「聞けば…教えるのか」

三郎は少し黙った後、遠くを見て言った。

 

「どうでしょうね」


 

 

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「はああ。そういうことか…」
「災難だったな」
「いえ、まあ…」

立ち話もなんだということで、僕達は近くの町に行き食事をしながら話していた。
ここで先輩達に出会えたのはもしかすると幸運かもしれない。そううまくいくとは思わないが、もしかしたら何か情報をくれるかもしれない。
僕は思い切って切り出した。

「あの…なんでもいいんです!何か三郎のこと知りませんか?」
「あー、と。話したいのはやまやまなんだが…」


先輩達の視線で、ようやく僕も気づいた。
七松先輩が明るく言う。


「場所を変えた方がいいみたいだね」


視線が、僕達に突き刺さっていた。







 

 


あとがき

なんか雷蔵があほの子みたいになってて申し訳ありません(笑)
あんまり話が進んでないかも…。あと、今は書けてますがそのうち無理がでてくるのではないかと不安です。
六年生は最初から絡ませる予定でした。未出の二人も出せるといいな。(いいなって)